ハンパ人間のなぐりがき

地方に住む男子大学生のひとりごとです。

中村文則『何もかも憂鬱な夜に』感想 生きる意味とは。絶望のなかで。

自分の力ではどうしようもない状況。

生きていると、そういうものと向き合う場面が必ずあります。

たとえば、

 

・人前に立つことが苦手なのに、全校生徒の前で発表させられる。
・テストのためにやりたくもない勉強をする。
・必死で練習しているのに、試合で活躍することができない。
・好きな人が振り向いてくれない。
・就活がうまくいかない。
・重たい病気を患う。
・いじめに遭う。

 

みたいな感じです。

 

これらはすべて僕の経験談ですが、読んでいるあなたにも1つくらい共感できるものがあるんじゃないでしょうか。

 

こういうことがあると、ついネガティブになってしまいますよね。

いっそ全部を諦めた方がいいんじゃないか……。

 

今回は、憂鬱なあなたに読んでみてほしい小説を紹介します。

 

 

 

中村文則『何もかも憂鬱な夜に』 集英社文庫

 

f:id:basket-c:20200422181037p:plain

出典:https://honto.jp/netstore/pd-book_03516190.html

 

中村文則さんは僕が個人的に大好きな作家さんです。

 

一度読んでみた方はわかると思いますが、中村さんの作風はとても特徴的です。

誤解を恐れずに一言でいうなら、とにかく暗い(笑)。

 

作中はつねに重苦しい雰囲気が流れていて、息苦しさを感じる人もいるかもしれません。

一般的にヒットするハリウッドやアニメ映画とは真反対の性質をもつ作家さんだと思います。

 

僕も最初に読んだときは、思わず驚きました。

「なんだ、この後ろ向きは小説は」って(笑)。

 

でも読み進めるうちに、

 

「あれ、意外といいかも」

 

「むしろこういうのを求めてたんじゃないかな」

 

「そうだよ、いまの僕に必要なのはこれだったんだ!!」

 

みたいな過程を経ました。

 

……なんか、怖いですね。自分で書いていて洗脳されてるみたいだな、って思いました。

 

怪しい宗教かも……って感じた方は、いますぐブラウザバックすべきです。

きっとその直感は正しい。

 

 

『何もかも憂鬱な夜に』の見所。

『何もかも憂鬱な夜に』は刑務官である主人公の「僕」を中心として、話が進んでいきます。

施設の出身である主人公は、幼い頃から生きにくさを感じています。

彼は成長し、刑務官として職務についていて、そこに生じる葛藤が作品の核です。

 

そんな本作には、主人公の友人だった「真下」という人物のノートが登場します。

僕はここを読んで、心を強く揺さぶられました。

 

以下に、一部を引用します。

 

イライラする。もう我慢できない。声を上げるが、治まらない。無理かもしれない。僕は、自分が甘えていることを知っている。少なくとも、知っているつもりではいる。でもなぜだろう。なぜこんなことで、こうなってしまうんだろうか。じっとしていると、胸がドキドキして、たまらなくなる。腕をかきむしる母親を見た瞬間、壁を殴った。なぜだろう。僕はどうなったのだろう。

 

こんなことを、こんな混沌を、感じない人がいるのだろうか。善良で明るく、朗らかに生きている人が、いるのだろうか。たとえばこんなノートを読んで、なんだ汚い、暗い、気持ち悪い、とだけ、そういう風にだけ、思える人がいるのだろうか。僕は、そういう人になりたい。本当に、本当に、そういう人になりたい。これを読んで、馬鹿正直だとか、気持ち悪いとか思える人に……僕は幸福になりたい。

 

出典:中村文則『何もかも憂鬱な夜に』

 

 

このノートは「真下」が学生のときに書いたもの。

僕も思春期のときに似たような感覚を持っていたので、ここを読んだときに自分の内面を言語化されたような気分になりました。

なんとも複雑ではありましたが(笑)。

 

このシーンでは、中村文則さんの持ち味が抜群に発揮されていると思います。

暗くて、重くて、でもどこか共感できる考え方。

 

中村さんは、こういうことを書くのが本当に上手ですね。

 

この「真下のノート」のシーンは、何度も繰り返して読むくらいお気に入りです。

 

 

 

なぜ生きるのか。希望とは。絶望とは。

 

「真下のノート」の部分を引用したことで、なんとなくこの作品の雰囲気は伝わったんじゃないかと思います。

 

全編通してなんともいえない絶望感がただよう今作ですが、そのなかでも一筋の希望みたいなものが提示されます。

 

それが、施設長のシーンです。

 

幼い頃の主人公が育った施設。そこで働く施設長のセリフは、僕を救ってもくれました。

 

施設長はアメーバをたとえとして、話をします。

 

はるか昔の地球に生まれた、単純な生命であるアメーバ。

そこから伸びてきた生命のつながりが、いまの自分につながっている、と。

 

「現在というのは、どんな過去にも勝る。そのアメーバとお前を繋ぐ無数の生き物の連続は、その何億年の線という、途方もない奇跡の連続は、いいか? 全て、今のお前のためだけにあった、と考えていい」

 

出典:中村文則『何もかも憂鬱な夜に』

 

すべてが、全部自分一人のためにあった。

 

すごい考え方だと思いませんか? 

 

ずっと続いてきた生命の糸が、自分のためだけに存在している。

見方によればこれは、真理です。

 

 

おわりに。

 

この小説を読んでも、世界は好転しません。

 

突然、自分がすごい人になることもありません。

 

ただ、同じような生きにくさを感じている人がいる。

そう思えるだけで、少しだけ救われるかもしれません。

 

興味を持った方は、ぜひ手に取ってみてください。

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

BUMP OF CHICKENのおすすめ楽曲。辛いときに聴いてほしい音楽

こんにちは、ハンパ人間の赤崎です。

 

今回は僕が中学生のころから大好きなロックバンド、BUMP  OF  CHICKENのおすすめ楽曲を紹介したいと思います。

 

とはいっても、僕は音楽評論家でもなんでもなく、ただの大学生なので音楽的な解説なんてできません。

おすすめする楽曲は、僕が辛いときによく聴いていて、助けられた曲たちです。

個人的な思い入れと感傷が詰まっているので、独りよがりな文章になってしまうかもしれません。

 

そういう目線であっても気にしないよ! という心の広い方は、ぜひ見ていってください。

それではいきます!

 

 

 

 

 

1. Title of mine

f:id:basket-c:20200420143227p:plain

出典:https://tower.jp/item/778443

アルバム『jupiter』に収録されている一曲です。

 

『jupiter』には『天体観測』や『ダイヤモンド』など有名な曲も多数収録されていますが、僕は『Title  of  mine』が一番好きです。

 

なぜなら、とにかく暗い!(笑)

 

この曲を聴いたことのある人ならわかると思いますが、この楽曲の主人公は人とふれあうことを望みつつも、それを望んでいる自分を恥じるという矛盾のなかで苦しんでいるようです。

 

助けてほしいと思いながらも、実際に手を差しのばされると遠慮してしまう。

この感覚が、僕には痛いほどよくわかります。

 

自分はそんなふうに優しくしてもらえる人間なのかなというか、価値はあるのかなみたいな。

 

我ながらばかばかしいとは思いますが、そんなことを真剣に考えてしまうことが時々あります(笑)。

 

高校生のときは部活で活躍できないとか、彼女ができないとか、そういうことに本気で悩んで、悩みながらこの楽曲を聴いていました。

 

同じような不安を抱えている人がいるのかもしれない。

そう思える『Title  of  mine』は、いまでも僕の心の支えです。

 

 

2. ギルド

f:id:basket-c:20200420143402p:plain

出典:https://tower.jp/item/1124413

アルバム『ユグドラシル』に収録されています。

 

『ギルド』の歌詞中では人間を「職業」として捉えており、その見方がとても斬新です。

 

僕たちは気がついたときにはこの世界で生きていて、毎日を過ごしています。

そうした日々では、望む望まざるに関わらず、学校や仕事やなにから生きるためにやらなければいけないことは山のようにあります。

自分で選んできたはずの人生でも義務のように見えてしまって、楽しむことすら「仕事」のように感じてしまう。

 

そんな不安や違和感を感じている僕は、いつか「人間という職業」をクビになってしまうのではないか。

 

立ち止まって休むことも、誰かに代理を頼むこともできない。

なんとなく疲れているときに『ギルド』を聴くと、本当に刺さります。

 

この曲の最後には、それでも生きるべきだと強くいいきってくれます。

 

どれほど醜く、汚れていたとしてもそのままで生きることが正しいといいきってくれます。

 

あなたはそれを聴いて、どう思うでしょうか?

 

 

3. ベストピクチャー

f:id:basket-c:20200420143620p:plain

出典:https://tower.jp/item/1080284/THE-LIVING-DEAD

 

 

アルバム『THE  LIVING  DEAD』に収録されています。

 

画家の主人公の人生を切り取ったような、ストーリー仕立ての歌詞がとても印象的です。

 

画家として理想の生活をキャンバスに描いていた主人公は、努力の末それを叶えます。

お金も名誉もなにもかも、すべてが現実となったのです。

 

けれど、そうした富や名声を失いたくないと思って仕事をするうちに、どうして自分が絵を描いているのかわからなくなる。

 

「なんでこれをしているんだっけ?」

 

という主人公の叫びは、とても切実なものとして響きます。

 

こうした悩みは、誰しも感じたことがあるのではないでしょうか。

部活でも仕事でも、自分で選んで決めたはずなのに、気がつけばやらされている。

どうして取り組んでいるのかわからないといった感じです。

 

僕は中学生のときにバスケットボールをやっていましたが、監督に厳しく指導されるうちに、どうして自分がバスケをしているのかわからなくなったことがあります。

 

ランニングもシュート練習も、いわれたからやっているだけ。

思考を停止していたことに気がついてしまったんですね。

 

そんな状態ではうまくなるわけもなく、そのまま引退試合を迎えることに。

僕たちのチームは地区大会で敗退し、僕はそこでバスケットボールをやめました。

 

『ベストピクチャー』の主人公は、最後に絵をなぜ描いていたのか思い出すことができますが、僕にはできませんでした。

 

なぜこれをやっているのか。果たして意味はあるのか。

それを問い詰めてくれる、素晴らしい楽曲だと思います。

 

 

4. HAPPY

f:id:basket-c:20200420143713p:plain

出典:https://tower.jp/item/2818454/COSMONAUT

 

アルバム『COSMONAUT』に収録された一曲です。

 

シングルとして発売された『HAPPY』は、とても耳馴染みのよいメロディが特徴的です。

 

僕がこの曲で一番好きな歌詞は、サビの部分です。以下に引用します。

 

悲しみは消えるというなら 喜びだってそういうものだろう

 

出典:『HAPPY』 作詞・作曲 藤原基夫

 

この発想は、正直ありませんでした。

 

僕たちはいつも、自分を鼓舞するためにこんなことをいいます。

 

「悪いことはいつか終わるさ。がんばっていればいつか報われる」

 

これは基本的に、間違っていません。

諦めなければ、そのぶん望んだ結果に近づけると思います。

 

ただ、苦しいことに終わりがあるのなら、良いことも同じことがいえるはずです。

楽しいことがやってきても、それはいつか必ず終わってしまう。

どういう形で訪れるかは知る由もありませんが、それは確実なことです。

 

せっかく手にした幸福を、いずれ手放さなければいけない。

 

これって全身が震えるほど、怖いことだと思いませんか?

 

いつかなくなってしまうと自覚しながら、それでも楽しいことは楽しいんです。

それならいっそ、知らないほうがよかったかもしれない。

ありきたりな感性かもしれませんが、そう考えてしまいます。

 

でもそんななかで、藤原基夫さんはこうもいってくれます。

 

終わらせる勇気があるなら 続きを進む恐怖にも勝てる

 

出典:『HAPPY』 作詞・作曲 藤原基夫

 

こういう逆説が、本当にうまい! 最初に聴いたとき、思わずシビれました(笑)

 

「そういわれてみれば、たしかにそうかも」

そんなふうに思えるフレーズを作るのが、本当に上手です。

 

怖いことや苦しいことがたくさんあって、そのくせ楽しいこともいつか必ず終わってしまう。

 

そういう現実を突きつけながらも、一緒に生きていこうと背中を支えてくれる『HAPPY』という楽曲は、僕の勇気です。

 

 

 

おわりに

 

今回紹介した楽曲は、悩みに悩んで厳選した4曲です。

書いている最中に、昔のことを思い出して苦しくも懐かしい気分になりました(笑)

 

もし興味をもってくれた方がいたら、ぜひ聴いてみてください。

 

そしておすすめの曲があれば、教えてほしいです。

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

 

 

マツキヨの干しいもがおいしい! 栄養価も高いおやつ最高のおやつ!

干しいも

 

甘くておいしい健康的なおやつですよね。

農家さんが作っている希少性の高いものから、スーパーなどで市販されているお手頃なものまで、色んな種類があります。

 

僕は干しいもが大好きでよく食べていますが、そのなかでも特に気に入っているのが、マツキヨ干しいもです! 

 

マツキヨと言えば、あの黄色い外観が思い浮かびますよね。

あなたの家の近くにもあるのではないでしょうか。(ある人はとても羨ましい……僕の家から一番近いマツキヨは車で30分ほどかかります……笑)

 

そんなわけで今回は、マツキヨの干しいもを紹介します!

 

 

 1.マツキヨの干しいも

 ・マツキヨの干しいものここが違う!

2.干しいもの栄養素

 

 

 

マツキヨの干しいも

 

f:id:basket-c:20200418133615j:plain

出典:https://www.matsukiyo.co.jp/store/online/p/4941983012924

 

パッケージはこんな感じです! 

僕の感覚としては、ドライフルーツなどと同じコーナーに置かれていることが多いですね。

初めて行く店舗だとなかなか見つけられず、困ってしまうことがあります……笑

 

あんまり売れ筋じゃないんですかね? おいしいのに。

 

さて、気になるお値段は128円(税抜)! 

安いですよね。学生の僕でも躊躇なくカゴに入れられちゃいます。

 

内容量は60gで食べきりサイズなので、間食として重宝しています。

 

 

マツキヨの干しいものここが違う!

 

市販されている干しいもはいくつか種類がありますが、マツキヨのものは明らかに他のものと異なる点があります。

 

それは干しいも焼いているということ!

 

一度干したうえで、焼きを入れる。

そうすると甘さがより強くなるんですね。(原理は知りません。色々食べるなかでそう思いました。間違ってたらごめんなさい笑)

 

これがマツキヨの干しいもを選ぶ最大のポイントです!

 

実際、同価格帯の干しいもと食べ比べてみると、その甘さが際立つと思います。

一度マツキヨの味を知ってしまうと、もう戻れない……。

 

 

マツキヨの干しいもの栄養素

1袋(60g)当たり
エネルギー 166kcal
たんぱく質 2.5g
脂質 0g
炭水化物 40.2g
ー 糖質 36.7g
ー 食物繊維 3.5g
食塩相当量

0.2g


栄養素としてはこんな感じです。

原材料はさつまいものみなので、糖質が高めですね。

 

でもそれは甘いお菓子に共通すること。

食物繊維やらミネラルやらが含まれているマツキヨの干しいもは、おやつとしてはかなり健康的だと思います。

 

体が資本と言いますし、僕は健康に対しては意識を高く持とうと心がけています笑。

 

 

 

 

 おわりに

程よい甘さと食べ応えのあるマツキヨの干しいもは、おやつとしてとても優秀です。

気になった方は、ぜひお試しください!

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

石田衣良『池袋ウエストゲートパーク』感想 法律からはみ出した正義

「あー、なんか退屈だな。なんか面白いことねえかな」

 

そんなふうに考えたことはありませんか?

 

こんにちは、「ハンパ人間」の赤崎です。

 

幸いなことに僕は平和な日本に生まれたので、これまでのところ暴力事件に巻き込まれたことはありません。これは本当にありがたいことです。

 

しかし、人間とは欲張りな生き物で、平坦な日常にやがて飽きるものです。

 

だからきっと、ド派手なハリウッド映画とかやってると思うんですよね。

 

「でもハリウッドっていつも似たようなストーリーだし、なんか飽きた……」

 

今日はそんな感性をお持ちのあなたに、おすすめしたい小説があります。

 

石田衣良さんが書いた『池袋ウエストパーク』です。

 

 

どんな話?

 

舞台は池袋に実在する「池袋西口公園」で、暇を持て余したフリーター「真島誠」が主人公。

 

マコトやその仲間は、夜になるとなにか面白いことがないかと「ウエストゲートパーク」に集まります。

 

この行動には僕も覚えがあります。意味もなく友人と集まると、一晩中喋っていることができますよね。

 

しかし、これは小説。

なにも起きなかった僕の現実とは違い、マコトのいるウエストゲートパークには物騒な事件が頻発します。

 

暴力、援助交際、いじめ、麻薬、殺人。

 

家業の果物屋を手伝う傍ら、マコトは舞い込んでくる問題を解決する「トラブルシューター」として奮闘することに。

 

その際に重要になってくるのが、マコトの仲間たち。特に活躍するのが以下の2人!!

 

池袋のギャングボーイズを束ねる王様「安藤崇」と、やくざの「斉藤富士男」。

 

この2人はシリーズを通してマコトとともに事件に立ち向かうことになります。

 

僕はタカシが一押しです! 

作中でのタカシは氷の比喩を用いて描写されることが多いんですが、クールで頭の切れるイケメン、かっこよすぎないですか?(笑)

 

2.作品の構成

 

「池袋」シリーズは文庫本1冊に4つのお話が入っていて、ゆるく繋がりはあるものの基本的に一話完結の形を取っています。

 

そして石田衣良先生の文体は難しい単語も少なく、とても読みやすい! 読書に慣れていないという人にもおすすめです!

 

僕が最初にこの小説を読んだのは中学生の頃でしたが、ページをめくる手が止まらなかったことを覚えています。

 

2020年4月12日現在、最新刊は13巻まであるみたいです。

 

興味を持ってくれた方は、ぜひ手に取ってみてください。

 

それでは!

 

米澤穂信『ボトルネック』 自分の存在価値を考えたことはありますか? あれば読んで欲しい本

「あれ、俺ってなんで生きてるんだっけ?」

 

月に一度くらい、こうした憂鬱に駆られて部屋で奇声を上げています。

こんにちは、「ハンパ人間」の赤崎です。

 

タイトルにもありましたが、みなさんはどうですか。長い人生を生きる中、一度くらいは考えたことあるんじゃないでしょうか。

 

学校やアルバイト、仕事。友人、家族、恋人、etc……。あらゆる場面に、悩みの種は潜んでいます。

 

そうした場所でうまくできない自分に嫌気が差し、自身の価値を疑うループに。

 

ほんと、どうしようもないですね。

 

さて、もしここまでの文章に共感してくれる奇特な方がいらっしゃいましたら、この先の文章も読んでいってください。

僕がひどく心動かされた「小説」を紹介します。

 

タイトルは『ボトルネック

 

1.『ボトルネック』とは

 

作者は「米澤穂信」さん。アニメ化もされた人気作品『氷菓』を執筆された作家さんです。

 

亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。

引用:米澤穂信ボトルネック』背表紙あらすじ

 

ジャンルとしては、ミステリーSF、みたいな感じでしょうか。

「自分が生まれなかった世界はどうなっている?」

そんなパラレルワールドに足を踏み入れてしまう主人公のお話です。

 

*以下ネタバレ注意!!

 

 

 

 

2.自分がいない方が、幸せな人が多い世界

 

主人公の名前は「嵯峨野リョウ」。この小説は彼の「ぼく」という一人称で語られています。

 

さて、あらすじの通り、彼は自分の世界には存在していなかった「姉」、「嵯峨野サキ」と自宅で遭遇します。いくつかの問答の末、二人は両者の世界の違いを探しはじめることに。

 

そして物語が進むにつれ、浮き彫りになっていく世界のズレ。

 

リョウの世界では閉まってしまったアクセサリ屋が残っていたり、倒れてしまったうどん屋の店主が生きていたり、極めつけは、もとの世界でリョウの彼女だった「諏訪ノゾミ」が生きていたこと。

 

一つ一つの事実を受け入れる中で、主人公は物語の終盤であることを悟ります。

 

『自分の存在が、ボトルネックである』ということに。

 

作中では、ボトルネックの説明を以下のようにしています。

 

ボトルネック

瓶の首は細くなっていて、水の流れを妨げる。

そこからシステム全体の効率を上げる場合の妨げになる部分のことを、ボトルネックと呼ぶ。

全体の向上のためには、まずボトルネックを排除しなければならない。

 

二人の世界の間違い探しをする中で、リョウは「自分の存在こそが間違いである」と結論づけます。

 

リョウの頭に渦巻くのは、「まずボトルネックを排除しなければならない」の一文。

絶望に飲み込まれた彼の口から出た言葉は、「もう生きていたくない」の一言でした。

 

そしてその一言を待っていたかのように、リョウは自分の世界へと戻ります。

波が打ち付ける、東尋坊の崖の上へと。

 

3.それでも生きるか

 

崖の上で彼は恐怖に震えます。

 

そこにあるのは、失意に身を任せすべてを諦めるか、絶望のまま続けるかの二者択一。

リョウの下した決断は……。

 

 

 

これを最初に読んだとき、僕は異様に興奮しました。

これほどまでに自分の価値を考えさせられること、「君に存在価値はあるか?」と問いかけられることはなかったのです。

 

自分の行為が誰かを不幸に陥れていると自覚してもなお、自分は生き続けることができるだろうか。

 

生きる希望が湧き出るなんてことはありませんが、木の陰に隠れた仲間を見つけたような気分になれる作品です。

 

興味を持っていただけた方は、ぜひ一読を。

 

 

 

現実逃避、はじめました。

はじめまして。

こんな辺境の地へようこそ。

 

地方の大学で経済学を専攻している「ハンパ人間」ことアカサキと申します。

なにかの不運でここにたどり着いてしまったあなた、不幸ついでにすこし見ていってくれると僕はとても嬉しいです。もしかしたら斬新でエレガントで新進気鋭ななにか出会えるかもしれませんよ……。

 

さて、この記事はブログとして書くはじめてのものです。人生初です。ブログ童貞卒業です、万歳。

 

そもそもなんでこんなものを僕がはじめたのかというと、タイトルにもあるように、現実逃避をしてみたくなったからですね。

 

2019年8月、いま僕は大学3回生をやっている身です。そうなってくると近づいてくるのが「就活」の二文字。嫌すぎました。

僕は経済を専攻しているのですが、就活、まじだるい……。のうのうと大学生をやっていた代償が大きくのしかかってきてます。もし大学1年、あるいは2年の文系がこれを読んでいるのなら、僕は声を大にして叫びたい。

 

「文系は、仕事見つけるのまじで大変だぞ!!」

 

理系は専攻している科目によって、ある程度将来の選択肢が絞られています。それは就活の負担を減らすことができるものです。人間は、多すぎる選択肢を前にすると選べない。これはブックオフでなにも買えなかった僕の経験から得た知見です。もう確実。

 

この世に存在する膨大な仕事の数々。小売り業、営業、エトセトラ……。

可能性ばかりが無限に広がり、僕はついに就活という現実から目を逸らしてしまいました。

 

その産物が、このブログです。

本当はインターンとかいかなきゃなんですけどね……、おかしいな。

 

ここには、こういう中途半端な人間の泣き言というか愚痴みたいなものを書いていくつもりです。まだ未定ですが。

 

じゃあ、ここまでお付き合いしてくれた方、どうもありがとうございました。

皆さんの退屈を塗りつぶせるものを書けるよう、僕も頑張るつもりです。

 

では、また次の機会に。